SES_客先常駐は 悪か?

キャリアアップ

SES・客先常駐は本当に悪か?(結論)メリットとデメリットがあります。

2019年4月30日

ITエンジニアの転職情報では、SES契約/客先常駐は、残業、休日出勤の連発、ブラックの温床だという記事があります。

また、入社後、すぐ客先常駐させられ、自分の会社の人がいないとか、自分がどこの会社の人間か?解らなくなるなんて、体験談なんかもあったります。

長年、IT業界にいると、こんなのあるあるですが、といいつつも、多数のITエンジニアは、SES契約/客先常駐で働いているのも事実です。

SES契約/客先常駐の実態は?どうなのか?現役SEが解説します。

まぁ簡単に結論を言うと、メリットとデメリットがあります。

悪な部分もありますが、どんなエンジニアになりたいか?どんな仕事をしたいか?でその捉え方は大きく異なり、一概に悪だけではありません。

むしろ、自分の成長・スキルアップを計るのであれば、もってこいなシーンもあります。

まず、SES契約とは何か?ここをよく理解したほうが良い

現役エンジニアであれば、SES契約について、ご存知かと思いますが、なぜ、SES契約のメリットを理解していない人もいるかと思いますので、飛ばさず読んでほしいです。

SES契約(システムエンジニアリング契約)とは?

SES契約とは、期間契約ともよばれ、期間を定めて、その期間内に業務を行うことにより、報酬を支払う形態の契約です。

例えば

来月から3か月間、月額70万円で、新規Webサービスの開発作業を行う。
といった感じです。

簡単に言うと、エンジニアを派遣するようなイメージですが、いわゆる派遣社員とは、以下の点で異なります。

・SES契約は、発注目的に対する業務の遂行となり、発注者に指揮命令権がありません。
・SES契約は、発注者は、契約者の勤怠を管理することができません。

なに言ってんだ?と思うと思います。

法律上の細かいことは、さておき、こう理解すると違いがスッと入ってきます。

・SES契約は、業務を委託しています。よって、期間に対してお金を払います。
期間中に業務を遂行していただければ文句ありません。

・派遣契約は、人に来てもらってます。よって、時給でお金を払います。
時給を払っていますので、指示した仕事をしてもらいます。

法律上の細かいことは、私は専門ではないので、弁護士さんのHPなんかがわかりやすいです。

SES契約の法律問題・委託と派遣の区別

SES契約の対極である請負契約について

SES契約や派遣契約の対極にあるのは、請負契約です。

請負契約は、成果物に対して代金を支払う契約です。
システム開発であれば、お客さんがこんなシステムを作ってほしい。と発注したものに対し、納期にそのシステムを納めることにより代金をもらいます。

請負契約の場合、成果物さえできれば、どこで誰が作ろうが、関係ありません。
指揮命令権や労務管理等もまったく関係ないものです。

例えば

新規Webサービスを作りたい。納期は今年度末です。
受注者は、見積を提示し、発注されたら、Webサービスを作って、納める。
といった感じです。

これが本来の姿ではない?全部これにすれば良いのではないか?と思うでしょうが、請負契約にはこんな特徴があります。

・納期遅延に対しては、契約に基づき契約違反責任があります。
損害賠償等の可能性もあります。SES契約にはありません。

・品質不良に対しては、契約に基づき瑕疵担保責任があります。
一定期間において、品質不良(=バグや問題)は無償での改修責任があります。
発注者に品質不良を原因とした損害が発生した場合、損害賠償等の可能性もあります。
SES契約にはありません。

SES契約は、どんな仕事で使われているか?

模範的な回答はこれです。

・請負契約での見積りが困難な場合。
研究開発や新技術開発といった完成するまでにどのぐらいの期間となるか?どのぐらいの工数が必要となるか?解らないケース。
技術面や要求仕様面において、不確定要素が多く、完成に至るまでのステップが解らないケース。

あまりに不確定要素が多く、見積できません。。。といったわけです。

なお、システム開発現場における実態はこの2つです。

・請負契約では大きすぎて、巨額すぎて、受けれない。

システム全体だけでなく、システム内の1機能といった最小単位においても、規模が大きく、請負契約では受けれない。

・請負契約ではリスクが高すぎて危ない場合。

納期確保、品質確保においてのリスクに加え、技術者の問題、技術要素の問題と様々なリスクがあります。
リスクを負えれば、高い利益があるかもしれませんが、リスクが高すぎて、負えない場合。

長々と書きましたが、SES契約は、ある意味、弱者(中小企業、下請け企業)の社員たちを守るための契約であるといった側面があります。

次に客先常駐とは何か?実は客先は常駐してもらいたいわけではないんですよ。本当は。

SESとセットで語られる客先常駐ですが、まぁ字の通り、客先(最終顧客や発注元)の事務所に常駐して業務を行うことです。

なぜ?客先常駐となるか?

SES契約は、別に作業場所を制限するものではありません。

他場所、自社でもできるのであれば、作業しても問題ありません。

目的は、委託された業務を遂行することです。

簡単に言うと、客先で作業しないと、できないからです。

いわゆる客先は、来てくれなくて、できるのであれば、来てくれなくても問題ありません。
発注元の立場から言えば、常駐じゃないほうが楽です。
常駐となると、作業場所、机やPC等の確保、入室のためのカードキーの手配等、準備物が増えます。
加えて、作業者が増えると、情報セキュリティの問題やいろんな人対人の問題が増えます。

模範解答としては

・お客さんや他チームと密接に打合せをしながら、作業する必要がある。
・セキュリティ上や設備上、その場所に行かなければ利用できないものがある。

といったところです。

なお、システム開発現場における実態はこの2つです。

・技術的にも、ノウハウ的にも、不足していて、客先や経験者、ノウハウ保有者にいるところに来て、教えてもらいながらでないとできない。

・開発の進め方、技術力、アウトプットが出せるか?に不安があり、目の届くところで作業してもらわないと信用できない。

例としてあげた「来月から3か月間、月額70万円で、新規Webサービスの開発作業を行う。」であった場合

あなたが自社で、作業したとします。
仕様や技術に不明点があり、3ヵ月後に仕上がりませんでした。
SES契約だから、納期に責任はありません。だから問題ないでしょ?
と言って、納得するお客さんは、この世にはいません。

本当に作業していたのですか?
不明点は、問合せしたのですが?
回答があったのにできなかったのはなぜですか?

といったことになるでしょう。

契約上は問題ないですから、代金は支払らわれたとして、二度と仕事が来ることはないでしょう。
会社自体の信用を落とします。

客先常駐も、ある意味、弱者(経験の浅い人、ノウハウの少ない人)を守るための施策であるといった側面があります。

SES契約・客先常駐のメリットとデメリット

だいたい、説明してきたのですが、あらためてSES契約・客先常駐のメリットとデメリットをまとめます。

メリット

・リスクが低いので、大きな案件や難易度の高い案件への挑戦ができる。
少なくとも品質不良や納期遅延による損害賠償沙汰は無いので、会社としてもエンジニアとしても、リスクの高くて手が出せないというような仕事(例えばお金に関わるシステムや医療や保安に関するシステム)にも挑戦がしやすいです。
まったく経験がない技術、ノウハウを持ち合わせて領域でも、SES契約であれば、勉強(技術調査や運用調査)も含めて、仕事となります。まぁ未経験で採用されるか?は別ですが・・・

・お客さんや高い技術力、高いノウハウを持った人と同じ現場で仕事ができる。
案件規模、会社のレベルによりますが、自社で仕事をしているだけでは、出会うことができない人と出会い、ともに仕事をすることができます。
大きな体制を率いるPMとか、大手企業の社員たち、技術分野違いのエンジニア(例えば、ネットワークエンジニアやインフラエンジニア)等、様々な人と仕事をすることができます。

デメリット

・大きな案件になればなるほど、自分の担当領域は小さく、部品の一部・作業者の一人といったことになります。
中心ではない、自分のプロダクトでない、やりがいや達成感を得られないといったデメリットがあります。

・お客さんのそばにいることから、問題あれば身を挺しての対応をせざるを得ない、帰りにくい、休みにくいといったデメリットがあります。
うまく行っている時はいいですが、プロジェクト崩れや多数の品質不良なんかがでると、険悪な関係・雰囲気となることもあります。
素直に、お客さんが遅くまで対応してくれているのに、申し訳ないとか、責任は無いが納期確保のため、残業や休日出勤を依頼され、断れなかったということもあると思います。

SES契約・客先常駐は、こう使え!

上で書いたメリット・デメリットをふまえ、どんなエンジニアになりたいか?どんな仕事をしたいか?によって、うまく活用しましょう。
私が思う、うらやましいなと思うエンジニアを例として、活用方法、紹介します。

最先端の技術を持ちたい、研究者になりたい、技術を極めたい!

なんて人。大手研究所とかに就職できるのが一番ですが・・・そもそも研究所というのは、学歴、専攻科目との相性もありますし、簡単には就職できるところではありません。
SES契約・客先常駐を活用して、研究所なり、最先端の技術を利用しているような企業に入り込むことにより、第一認者になることも夢ではありません。
その経験を生かして、自分の事務所なり、自社での研究部門なりへの展開も狙えると思います。

大きな仕事がしたい、大多数の体制を動かしたい、王様になりたい!

大企業、大手SIerの案件をSES契約・客先常駐で参入しましょう。
始めは石ころかもしれませんが、自分のチームを少しずつ大きくしていく事に頑張るといいと思います。
まったく無名の会社出身でも、実力次第では、数十名体制のリーダになるなんて例は、山ほどあります。
そして、そんなところで満足してはいけません。その経験は、自社で大きく評価されるでしょうし、スカウト・転職等、大きな糧となります。
高みを目指す土台として活用しましょう。

小規模でもいいから要件定義から運用まで、全部やりたい。いつか自分でサービス立ち上げたい。

中・小規模の案件をSES契約・客先常駐で参入します。あえて経験の無い分野やフェーズを狙って行きます。
規模が小さな案件は、数ヵ月程度で終了していくので、複数個をこなすことで、上から下まで全部できるようになります。
これも、SES契約・客先常駐のメリットで、仕事上で得た技術、ノウハウは返す必要がありません。
案件が終われば終わり、次の案件へ。技術とノウハウは、担当者の頭と手だけに残る。

以上 「SES・客先常駐は本当に悪か?(結論)メリットとデメリットがあります。」

管理人:駆け出しのころは、自社で、先輩の小間使いするぐらいなら、お客さんのところ常駐して、技術と顔を売ってくるというのも、アクティブ派には、良い選択かと思います。

SES・客先常駐の対極に、自社開発や社内SEもあります、これらもメリット・デメリットがあります。

やっぱり、どんなエンジニアになりたいか?どんな仕事をしたいか?によります。

ちなみに、私は、「小規模でもいいから要件定義から運用まで、全部やりたい。いつか自分でサービス立ち上げたい。」派であり、それもあってフリーランスをしていますが、私の技術や仕事のやり方の大半は、SES契約・客先常駐で得たものです。今でも、大手SIer常駐時に指導してくれた人の言葉は忘れずに自分の糧になっています。厳しかったけどねぇ・・・やっぱ、大手は厳しいよぉ〜。

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